2012年6月16日土曜日

The Science of Deduction

Sherlock on BBC One
21世紀に蘇ったシャーロック・ホームズ(左:ベネディクト・カンバーバッチ)とジョン・ワトソン(右:マーティン・フリーマン)。こうした形でシャーロック・ホームズの映像化に出会えたことは、大変な歓び。

BBC Oneで2010年、そして今年年初に放送したシリーズ、「Sherlock」を先ほど全て観終えました。
自分自身シャーロキアンであるか否かと言えば、片足を突っ込んでいることになるのでしょうが、この現代版シャーロック・ホームズシリーズは、想像以上の出来でした。

もともと自分自身、シャーロック・ホームズシリーズを最初に読んだのは小学校4年生くらい。当時自分のクラスでは、図書館で借りた本の読破数を競い合う、今にしてみれば面白い試みをしていたのですが、その体験の中で、自分がドップリ嵌ったのが、アーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」とモーリス・ルブランの「アルセーヌ・ルパン」でした。
が、両者のうち、特に自分を惹きつけてやまなかったのが、ホームズでした。

以降も色々な推理小説を読みあさったのですが(近いところではガリレオシリーズ)、ホームズを超えるキャラクターとは未だ遭遇したことがありません。
アガサ・クリスティのポアロでさえ色褪せて見える魅力が、ホームズにはあるように思えてならないのです。(ポワロファンには大変申し訳無いのですが…)

これを特に確固たるものとしたのが、英国・グラナダテレビ制作のテレビドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」でした。主人公ホームズを演じたのが、故ジェレミー・ブレットだったのですが、彼の演技力が以降のシャーロック・ホームズ像を決定づけたと言っても過言ではないと思います。
ジェレミー・ブレットがホームズとして演繹(えんえき)法 - science of deduction - によって謎を紐解いていくシーン、彼のホームズとしての立ち振る舞い、表情筋の使い方、全てがシャーロキアンを納得させたものだったと思います。
もしかしたら、ブレット氏が患っていた躁鬱病と、作中のホームズが陥っていた麻薬中毒がオーバーラップしていたからかもしれません。
(シリーズ半ばでブレット氏が心臓病で他界したことは、未だに悔やまれます。「マゼランの宝石」では、ホームズの代わりに兄のマイクロフトが推理に駆けつけるまでの病状だったようです。彼の最期の作品、「段ボール箱」にはホームズとしてしっかり復帰することができたのですが・・・。)

今回ホームズを演じることとなったベネディクト・カンバーバッチは、まさにそのホームズを21世紀に蘇らせる演技をしてのけたのです。

冒頭にも書いたとおり、ホームズが現代で活躍したら、という前提に組み上げられたシリーズですので、ブレット版の時代設定ではなかった電子機器の活用などもふんだんに有りますが、物語として何ら破綻していないというのが素晴らしい。(脚本家は、あらゆる部分をオリジナルから改変していいとの指示を受けているそうですが、それでも破綻は見受けられません。強いて一つ不満を言えば、『The  Blind Banker』の作中の「刺青」をもうちょっと何とか出来ればよかったのですが。)
また、21世紀のネット社会を逆手に取っているところも興味深い。
Sherlock」は全ての事件をドラマ化することに焦点を置いておらず、映像化されていない数々の事件の顛末は、ワトソン君のブログ"The Personal Blog of Dr. John H. Watson"を通して知ることが出来るようになっているのです。(オリジナルでは、手記という形ですが。)

そして、ホームズ自身もウェブサイト"The Science of Deduction"を運営しており、ワトソン君のブログ同様、作中に何度となく登場するような仕掛けも設けられているのです。
(英文ですが、これらを読んだ上で作品を観ることをお薦めします。)

シャーロキアンであれば、食わず嫌いをせずに味わって頂きたい作品となっています。

さて、シャーロキアンとしてのスイッチが入ってしまいましたので、長いこと完読していなかったStrand誌版のシャーロック・ホームズシリーズに浸かりたいと思います。
第3シリーズが始まる前までに、ある程度読み進めておきたいですからね。

Strand誌版シャーロック・ホームズ
英国留学中に購入したStrand誌版のシャーロック・ホームズ全集。「シャーロック・ホームズの思い出」の『ブルース・パディントン設計書』の途中で止まっていましたので、この事件から読み直すことにします。最も、別版で既に読み終えていますので、内容に大幅な変更がなければ大体記憶との相違はないかと思いますが…。

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